平成22年11月4日、当研究会の特別代表である津谷裕貴弁護士が、同弁護士の自宅に押し入った男から刃物で刺され、死亡するという痛ましい事件が発生した。
この事件は、弁護士の業務に関連して引き起こされたものであり、社会正義の実現と基本的人権の擁護を使命とする弁護士の業務に対する重大な挑戦であり、自らの要求を暴力によって実現しようとする手法は絶対に許すことができない。
また,この事件については、その犯行現場における警察の対応などの事実関係が未だに解明されていないが、その真相が究明されることを強く要望する。
津谷裕貴弁護士は、昭和58年の当研究会広島大会に参加されて以降、平成15年5月から2年間は代表幹事を務められるなど、商品先物取引被害の予防・救済に、当研究会の中心になって取り組まれ、最近では、経済産業省の産業構造審議会商品取引所分科会委員として、商品先物取引への不招請勧誘禁止の導入に尽力され、法改正により、これを実現させるに至った。改正法は本年1月に施行されるに至ったが、津谷裕貴弁護士がその施行を見ることなく亡くなられた無念に想いを寄せるとき、深い悲しみを禁じ得ない。
津谷裕貴弁護士は、当研究会にとってかけがえがない存在であり,同弁護士を失ったことは、痛恨の極みである。
商品先物取引被害にかぎらず,そもそも,金銭のためには手段をえらばず,老人などの社会的弱者を騙してその命金を奪っても何らの反省がないという人間が次々と生み出されるこの社会に対して,くさびを打ち込み,悪質業者を撃退して,今一度,社会の構成員が共同連帯の関係を結び,安心して生活できる社会を再構築できるよう,当研究会は,津谷弁護士の遺志を引き継ぎ全力で戦っていく決意である。
平成23年6月
先物取引被害全国研究会
第15代 代表幹事 山崎省吾