代表挨拶
当研究会は、昭和57年3月、豊田商事の純金ファミリー証券商法被害の急速な拡大に対抗するために全国の弁護士が協力体制を築いたところに始まり、爾来、商品先物取引被害を中心とする投資被害の救済・根絶のために活動する各地の弁護士の有志団体がその成果を共有する場として様々な投資被害、投資まがい詐欺商法の被害に関する諸問題に取り組んできた。年2回、多数の会員が全国から集い、被害救済・根絶のための学究的・実践的知見を高めあい、経験豊富な会員から熱意ある若手会員へと、惜しみのないノウハウの共有が続けられてきた。
詐欺的投資取引被害は、海外先物取引、私設先物取引、国内取引所における先物取引から、FXまがい取引、ロコ・ロンドン貴金属取引、未公開株商法、金分割払いまがい商法、と様々に変容を続けてきたが、いずれの被害類型も減少傾向にある。
しかしながら、これら取引被害は今なお深刻な被害を生み続けているし、大規模なファンドまがい商法等が拡大の様相を見せている。マッチングアプリやSNS上の広告を端緒としてLINEで投資指導をするという体裁をとる特殊詐欺事案の著しい蔓延も看過できない。詐欺商法被害救済の分野で非弁業者が暗躍するという新たな問題も生起している。
これらに抗するため、我々は、未だ発展的解消をなしえず、絶えず研鑽を続ける必要がある。
「世に詐欺商法の種は尽きない」
ときに、このような諦念が去来することもないではない。
しかし、我々が先達の活動を振り返り、それに続く歩みを止めない限り、必ずや悪質な投資詐欺商法の駆逐の日を見ることができるはずである。
そのような日が来ることを、私は、信じている。
令和7年(2025年)6月1日
先物取引被害全国研究会代表幹事 弁護士 荒井哲朗